『男女平等』の道を築き上げたのは<br /><象徴>皇后雅子さまの生き方だった。 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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『男女平等』の道を築き上げたのは
<象徴>皇后雅子さまの生き方だった。

いま55歳以下のキャリア女性たち。「均等法第一世代」は社会的に「幸せ」になれたのだろうか?

■均等法第一世代チルドレン

 私は、現在、立教大と武蔵大の社会学部兼任講師として「均等法第一世代」を母親に持つ子供たちに教えている。彼ら学生が社会参加=就職する上で、本書をテキストとして、その問題意識をレポートしてもらった。 

 それは、均等法第一世代の葛藤がどのように若い世代に消化され、生かされているのかを考える契機になると考えた。

 たとえば、こんな感想である。

「均等法第一世代から仕事とプライベート、公私の区別をはっきりする女性が増えたと思う。自分をかけがえのない存在と考えるようになった」、「雅子さまは私たちにとって憧れだ。天皇も雅子さまを思い続けたのは素晴らしい」、「私たちの時代は未婚化・未出産化」などとくに女子学生からは女性の働き方、生き方の多様性を社会に求める意見が多かった。と同時に「おひとりさま(生涯独身)」の覚悟も散見された。

 また人気ドラマ『わたし定時で帰ります』のヒロインのように公私の区別をはっきりさせたい学生が多かった。「第一世代はロールモデルがいなかったが、母親世代が私たちのロールモデル」と答える学生のレポートには首肯できた。

 

■皇后自ら女性キャリア再構築

 2019年5月末、トランプ大統領が来日の際、「均等法第一世代」の皇后雅子さまが「通訳なし」で皇室外交を披露した。この事実は皇后がキャリア女性として皇室に入り、「高齢出産」も経験し、「適応障害」もあったが、無事、新皇后として自らのキャリアの再構築を見事に果たしたことを意味した。

 そしてこの堂々たる皇后の姿に感動したのは、社会でさまざまな葛藤を抱えながら生きてきた均等法第一世代以降の女性たちかもしれない。

 そうあの日の皇后の姿が、キャリアとして女性の働き方を体現する「均等法第一世代の象徴」であることを名実ともに認めさせた事件だったのである。

 第一世代の女性たちとその子供たちは、皇后を女性キャリアの「ロールモデル」として期待していることだけは確かだ。

 令和の時代、本書の主題は皇后の活躍とともにこう書き換えられるだろう。「女性はもっともっと幸せになれる」と。

KEYWORDS:

消えたお妃候補たちはいま ―「均等法」第一世代の女性たちは幸せになったのか

小田桐 誠

 

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皇后雅子さまと他の候補者たちを分けたもの
それぞれを待っていた未来は

 令和時代が幕を開け、皇后となった雅子さまに大きな注目が集まっている。現在の皇室も結婚問題に揺れているが、天皇陛下が雅子さまを射止めるまでの「お妃選び」も、初めてお相手候補の報道が出てから15年という長期にわたり世間の耳目を集めるものであった。

 その間、リストアップされた有力候補者たちは本書に登場するだけでも70名。雅子さまとのご成婚に至るまでに、家柄も学歴も申し分ない候補者たちがなぜ、どのようにリストから消えていき雅子妃が誕生したのか。

 外務省でのキャリアを捨てて皇室に入られた雅子さまと、消えたお妃候補者たちは同世代で、いずれも「男女雇用機会均等法」第一世代。四半世紀を経た今、果たしてそれぞれの幸せをつかんでいるのか――克明に追ったルポルタージュ。

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小田桐 誠

おだぎり まこと

ジャーナリスト

1953年青森県生まれ。亜細亜大学法学部卒業。



出版社勤務を経てフリーのジャーナリストに。



放送専門誌『GALAC』編集長、BPO「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事選奨事業委員会委員長、法政大学社会学部兼任講師を経て、現在、メディア総合研究所運営委員、立教大学と武蔵大学社会学部兼任講師。



著書に『企業脅迫!——グリコ・森永事件の構図(社会思想社)』、『PTA改造講座』(NHK生活人新書)、『テレビのからくり』(文春新書)、『NHKはなぜ金持ちなのか?』(双葉新書)などがある。『日刊ゲンダイ』毎週月曜日発売号に「MC・コメンテーター診断」を連載中。


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  • 小田桐 誠
  • 2019.05.25